好 き の 内 側 を 見 せ て 。

09






好きです、
そう言ってくれたのが彼女であればなんて言うのは贅沢且つ失礼な話で。




いつもならごめんね、の一言で済ます返答も好きな人がいるんだという明確なものに変わった頃。自分の気持ちに素直になればなるほど、彼女に話しかけるのが億劫になってしまって最近は仕事での所謂業務用の会話しかしていない。



だからなのか彼女の方もここ最近業務に関係ない話はしようとしないしどうしても俺じゃないと駄目という話以外は他の人を頼るようになった。必要最低限の会話、というのはこんなにも侘しいものなのか。




( 今までどうやって話してたっけなあ )




そんなことを頭で考えながらもなかなか行動には移せずにいた時にあった打ち上げ。大きな顧客を取れたのは広報部の支援があったからだと広報部との合同の飲み会である。



御影の隣争奪戦が起きる、と先輩に案じられた俺はやや遅れて参加するよう命令を受ける。どうせ探せば仕事はいくらでもあるし、そこまでして行きたい打ち上げでも正直ない。




そんなこんなで30分の遅れで店の前。しとしと小雨の降る夜に打ち上げなんてしなくてもいいのに、そんな考えは店の前で傘をさして佇む彼女を見て吹き飛んだ。





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