好 き の 内 側 を 見 せ て 。

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台風が来るらしい、そんなニュースを見てスーパーで食料を買い込んでふたりでゴロゴロしていた休日。



ソファーに座って昨日から読み始めていた小説を開いて1章ほど進んだ頃、ふと背後に温もりを感じて振り返る。いつからいたのかソファーの後に回っていた御影さんがそれいつ終わるの?と可愛く駄々を捏ねていた。



「 後からぎゅっ、ってするの好きー 」

「 那加の恥ずかしそうな顔も好きー 」

「 耳真っ赤 ー 」



そうやって私のことを茶化して喜んでいる。要は本を読んでいない自分は暇で仕方ないのだとアピールしたいのだと思う。御影さんは本とか新聞とかを読まない、それどうだった?って結末だけ聞いて満足するタイプなので家にある本とか雑誌の類は全て私のものだ。



こうやって後から抱きしめられることに慣れなんてなくて、端正な顔が自分の真横にあることが違和感でしかない。耳真っ赤、これだけなんだからもはや慣れたに値すると思う。



そして多分、わたしが本を読むのを辞めたからってなにをするわけでもなく私の背後から消えた御影さんはマグカップをふたつ持って私の隣に帰ってきた。




「 あ、本やめちゃったの? 」



栞を挟んだ小説を見て、一言。自分が辞めさせたのによく言う口だな、なんて思っていると御影さんはその長い足をソファーの肘置きの向こうに放り出して私の足に頭を乗せた。



「 ねえ、那加 」

「 なんですか? 」

「 台風ってあの日思い出さない? 」

「 、そうですね 」



御影さんの頭が私の足に乗ったとき、わたしもちょうど同じことを思っていたのでなんとなく恥ずかしくなって返事を誤魔化す。御影さんとはこうやって思いがシンクロすることがよくある。






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