覇王~Blue Moonstone ~ 第二部 【完】

PROLOGUE /赤い月

 



今日の月は赤い

ある街のはずれにある廃工場

遥か昔に使われなくなった工場だ


その工場の外階段に

1人の少年が座っていた


ポケットから注射器を取り出し

自分の静脈に刺す


ふぅーっと、ため息を吐き

自分の手の中にある物を見る


はっ 自嘲的に笑い

それを投げ捨てる


数十メートルしたでガラスの割れる音


携帯を取り出し、メモリーを探る

現れたのは数人の少年が笑う画像



「落ちちまった
 何でこんな事になっちまったんだろ…

 帰りてぇなぁ…あの頃に
 戻りてぇ…戻らせてくれよ…

またみんなで走ろうぜ
なぁ…」



少年は階段から身を乗り出す



「また来世で走ろうぜ…」



少年は目を閉じ

身を投げた



これで…

もう苦しまなくてすむ


これで…

あの頃に戻れる




少年は微笑みながら逝った

あの頃の記憶を抱いて


最後に少年が耳にしたのは

遠くから聞こえる懐かしい音



仲間が走る音だったから…









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