江戸の暮らしを市井から読み解く物語となっております存分に御楽しみ戴けましたら作者として幸いです。

ふと夜空を見上げてみると、雨上がりの澄んだ空気が鼻腔をくすぐり、月明かりも相まってこの世のものとは隔絶されたような荘厳な世界ができあがる。


八百万の神々はそこかしこに存在する。


古い器物、職人の手による芸術品、苔むした石、何にだって存在する。


ならこんな綺麗な夜には天の神々の遣わした天人が訪れても、何も不思議ではない。