木蓮ひらり

若葉 /1

「瀬田木蓮《せた もくれん》は病欠だ」




えっ、とあたしは思わず声をあげた。


「病気って何ですか」

「熱があるらしい」

「修学旅行に来られないぐらい、ひどいんですか?」

「そうなんだろう。家で休ませますとお母さんから電話があった」

担任の宮田はそう言うと、他の教師たちが集まっている一号車の前へと歩いていった。





あたしはこっそりと列を離れ、体育用具倉庫の陰に隠れてケータイを取り出した。


木蓮のケータイに電話をかける。




留守電だ。




木蓮の自宅にもかけてみる。


誰か出た。

「あっ、もしもし……」

ぷつん。




切れた。


もう一度かける。




また誰かが受話器を取った音がして、すぐに切れた。




切れたんじゃない。




切られたんだ。


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