木蓮ひらり

乱反射 /1

期末テストが終わって、梅雨が明けた。

夏休みに入って、髪も肌も焦げそうなほどに日差しが強くなった。

穏やかなふりをしていた太陽が正体を見せたみたいだ。



夏休みの計画は特になかった。

ヒデちゃんたちのS高は補習があって、実質的な夏休みはお盆前後の二週間しかない。

その二週間、寮生たちは皆、実家へ帰ってしまう。



木蓮は、あれから何度か杉本くんに会っているらしかった。

書店やコンビニで二人を見たという話を耳にした。

木蓮に尋ねてみるとそれはいつも肯定されて、
けれど木蓮はそれを恋だとは言わなかった。



木蓮は以前と変わらず静謐だった。

ただ、親しくないひとの前ではうつむきがちだった木蓮が、ひとから目を逸らさなくなった。


夏でも日に灼けない木蓮の肌と、強くなった目の光が冴え冴えとしている。


もともと伸びた背筋に真っ直ぐな瞳が加わり、木蓮はますます周囲から際立った。


木蓮のその変化を、あたしは恋だと思った。


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