木蓮ひらり

乱反射 /2

息苦しいほどに暑い日だった。

木蓮と二人、太陽から逃げるように駅舎に入り、改札の近くで待った。


何とはなしに運賃表を見上げる。

ヒデちゃんの街まで行くには、ずいぶんお金がかかる。


遠いな。


そう思ってため息をついたとき、後ろから頭に手を置かれて、びっくりして振り向いた。


「今年はアッシュ系かぁ」


そう言いながらあたしの耳元の髪に触れるから、ヒデちゃんの手の温もりがほんのりと頬に伝わる。

ヒデちゃんの視線があたしの頭から顔に移って、やっと目が合った。


茶色い瞳の中に、あたしがいる。


あきらめかけていた想いが急激に蘇ってきて、鳥肌が立ちそうだった。


「久しぶり」


ヒデちゃんの軽い挨拶に、あたしは「うん」と応えた。


「ヒデちゃんは、今年は染めないの?」


声がうわずらないように、あたしはゆっくりと尋ねる。


「どうしようかな」


そう言いながら、ヒデちゃんはあたしの乱れた髪を直した。


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