木蓮ひらり

乱反射 /4

結局この夏、海には行かなかった。

お盆明けに木蓮たちと近場の室内プールで遊んだ。

エリナは彼氏と旅行に行く予定が親にばれて中止になったと嘆いていた。

サエは例の男の子とは「なんか違った」らしく、付き合うまでには至らず自然消滅していた。


木蓮は、あまり語らなかった。

「杉本くんと会ってるの?」と訊かれると「たまに」と答え、「付き合ってるの?」と訊かれると「ちがうの」と答えた。


何も起こらないまま日は過ぎて、宿題を前にうんざりしていたある日、ヒデちゃんから電話があった。

躊躇したけれど無視はできなくて、通話ボタンを押した。

ヒデちゃんは自分の近況報告もそこそこに本題に入った。


「康が木蓮さんに振られた」


ヒデちゃんはいつもより低い声でそう言った。



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