木蓮ひらり

乱反射 /8

「……杉本くんのおうちは絵本に出てくるみたいな可愛いおうちだったよ。


お父さんは接待でお留守だったけど、お母さんと妹さんには会ったの。


妹さんは小学四年生 だって。


いっぱいお話して、それからピアノを弾いてくれた。


お母さんも優しそうなひとだったよ。


刺繍が趣味なんだって。


家のあちこちに額縁に入った刺繍の絵が飾ってあってね。

クッションにも花の刺繍がしてあった。


それから大きな白い犬がいた。


杉本くんと妹さんと私と犬とで、少しだけ散歩したの。


近くに大きな公園があってね。

でも思ったより暑かったから、すぐに帰ったんだけど。


おうちに戻ったら、お母さんがアイスティーと手作りのゼリーを出してくださって。


高台にある家だから、リビングの窓から街がよく見えるの。


今日、ホテルから見た景色とはちょっと違う。


この街は平たいところに時々にょきっと高い建物があるでしょう。


でも杉本くんの街はなだらかなの。


二階建ての家ばかりで丘が埋め尽くされてる。


なんだか不思議な風景。


でもそこに住んでいるひとにとっては、
それが普通ね……」

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