木蓮ひらり

陽炎 /2

イートインのカウンター席に着くと、杉本くんは「どうぞ」と言って、あたしと彼の肘の間に紙ナプキンを広げ、フライドポテトを置いた。

それから杉本くんはしばらく黙って窓の外を見ていて、ふいに
「大丈夫かなあ、あのひと」
と言った。

杉本くんの視線の先には、花模様のワンピースを着てポシェットを斜め掛けにした「水谷ハナ」さんが立っている。

よく見ると口がもごもご動いていて、今日もまた見えない誰かと話をしているんだな、と思う。


「あんなカンカン照りのところに立ってたら危ないんじゃないかな」

「暑くなったら日陰に入るでしょ。一応大人だし」

「でもなあ」


杉本くんは心配そうにハナさんを見つめて、ポテトにも飲み物にも手をつけずにいる。

ハナさんは二、三分何か話すと気が済んだらしく、すたすたとどこかへ歩き去った。


「この近所のひと?」

「たぶんね。よく見るし。それ木蓮に渡すもの?」


杉本くんは小さな袋を手にしている。

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