木蓮ひらり

霜降 /2

木蓮は土いじりばかりしている。

秋の花は地味で目を留めるひとも少ないけれど、木蓮は部活のない日もときどき中庭へ行き、花壇の草や枯れ葉を取っていた。


「この下にはチューリップの球根が埋まってるの。

ここのは黄色。

あっちのは赤」


そう言って木蓮は指先についた土を払った。



「風が冷たくなったね」


あたしは山おろしに首を竦める。


「水も冷たくなった」


手を洗っている木蓮は、小さく息を吐く。


「冬が近づいてくるのがいや。街に落ち着きがなくなって」


あたしは愚痴をこぼしてみる。


「木蓮はいやじゃない?この街の冬」


あたしの問いかけに、木蓮は穏やかな顔のままで

「仕方がないもの」

と答えた。



「年が明けるのも、近づいてるよ」


その言葉を聞いて、見透かされた気がして恥ずかしくなって、あたしは

「まあね」

と短く返した。


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