木蓮ひらり

湯気の向こう /3

カメラ付きインターホンのチャイムを鳴らすと、木蓮はすぐにドアを開けてくれた。


「トモ、久しぶり!元気?」


木蓮はチェックのエプロンをかけて、髪をポニーテールにしている。

拍子抜けするほどの、あどけない笑顔だ。


「家にいるって聡子さんに聞いて……木蓮こそ、元気?」

「うん。上がって?散らかってるけど」


あたしは躊躇せずに上がらせてもらった。

今日は確実におじさんは不在だ。


「カレー作ってるって聞いたけど」

「そうなの。むずかしいね、カレー」

「もしかしてルーから作ってるの?」

「ううん、市販のルーを使うんだけど」


市販のルーを使って作るのに、何がむずかしいんだろう。

そう思いながら木蓮の後について行き、ダイニングキッチンを見て違和感を感じた。


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