木蓮ひらり

冬凪 /4

「揺さぶりをかけるって、どうやって?」


あたしが訊くとヒデちゃんは

「これから考える」

と言った。



あれ以来、ヒデちゃんとその話はしていない。

あたしもヒデちゃんも木蓮と杉本くんの何かのすれ違いが元に戻ればいいのにと思いつつ、あまり不自然なことはしたくなくて、手をこまねいている。


期末テストが終わった今日、あたしと木蓮とサエとエリナとS市のカラオケボックスへ行った。

木蓮は三時間の間に三曲だけ歌った。

木蓮はあまりテレビを見ないから、流行りに疎い。

たまに家で聴く音楽は、お父さんが好きな昔の映画音楽とジャズだと言っていた。

木蓮が歌えるのはムーランルージュから聞こえてくるカラオケで聞き覚えたものが多く、タイトルや歌い手の名前はほとんど知らない。

木蓮にさわりの部分を歌わせて、あたしとサエとエリナが曲名を教えながら検索した。

木蓮は歌手本人が出演している映像が出ると、目を凝らして見ていた。


「この歌、こんなひとが歌ってたんだ……」


木蓮は感銘を受けた様子で、しきりに頷いていた。


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