木蓮ひらり

凩 /2

勝手口のドアを静かに開けて二階に上がった。

ママはいつもあたしを送り出した後で眠りにつく。

できるだけ音をたてないように、あたしたちは爪先立って廊下を歩いた。

自分の部屋に木蓮を招き入れ、ファンヒーターのスイッチを入れる。


「木蓮、ここに座って」


ヒーターの前のクッションを勧めると、木蓮はおとなしく腰を下ろした。

あたしはベッドから剥がした毛布で木蓮をくるんだ。


「すぐにあったかくなるから、そこにいて。木蓮、コーヒーにはミルクだけだよね」

「うん……ありがとう」


あたしはキッチンへ行くためにまたドアを開けた。


「ごめんね……」


木蓮の言葉を背中で聞いた。

木蓮は「ありがとう」と「ごめんね」だけはためらわずに言う。


「……いいよ、別に……」


何と答えていいのかわからなくて、素っ気ない返事になって、そのまま部屋を出た。



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