木蓮ひらり

凩 /4

その晩、あたしが店の手伝いを終えて一息ついた頃、木蓮から電話があった。

木蓮は開口一番、今日のお礼を言い、家の状況を教えてくれた。


「お父さん、やっぱり寝てた。

夕方五時頃起きて、友紀さんが持たせてくれたごはんを一緒に食べて、今は出かけてる。パチンコかな」

「何か言われた?」

「何も」

「大丈夫なの?」

「うん。お父さんは一度爆発したら二、三日はおとなしいの。

謝ったりはしないけど、きまり悪いんだと思う」


めちゃくちゃな印象のおじさんだけど、ああいうひとでも反省はするらしい。


「聡子さんから連絡あった?」

「うん。私のケータイの留守電に。
公衆電話からかけたみたい」

「どこにいるって?」

「わかんない。
仕事を見つけて必ず帰ってくるから待っててって」

「仕事?」


このとき初めて、あたしはムーランルージュの窮状が思っていたよりも深刻だということを知った。



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