木蓮ひらり

約束 /1

金色のイルミネーションが後方へ流れ去り、車は地下へ入った。

降車して立駐からモールの中へ入るとそこは広場で、一階から五階までが吹き抜けになっている。

あたしとママは中央に立つ大きなクリスマスツリーを見上げた。


「すごいねえ」

「でかいねえ」

「都会に来たって感じ」

「隣の街なのにね」


ツリーを眺めながらエスカレーターを上った。

ママとショッピングモールに来たときは、いつも最上階から順に見ていく。

本やCDや服や雑貨の店を覗いて、最後に一階の食料品売り場で大量に食材を買い込んで帰るのがお決まりのコースだ。


「あ、チキン買ってこう」


フードコートの前を通り過ぎようとして、ママは思い出したように後戻りした。

『かずさ』の定休日にここに来ると、ママはたいていファストフードのフライドチキンを買う。

ママが作るトリカラもおいしいのに、子どもの頃に病みつきになって以来、あのフライドチキンだけはやめられないらしい。

ママとふたりチキン屋の前に並びながらフードコートを見渡した。

ひとは疎らだ。

窓際のテーブル席に白髪混じりのおじさんがこちらに背を向けて座っている。

その向かいの椅子の背にかかっているダッフルコートに見覚えがある。

傍らにすらりと背の高い女の子が立った。


木蓮だった。



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