木蓮ひらり

波瀾 /2


「……最初はおれの地元を案内しようと思ってたんだ。

どうってことない普通の街なんだけど。

駅ビルの側にはファッションビルがふたつあって。

そこからしばらく歩くとわりと大きな公園があって。

公園入り口の並木道を抜けると池があって、水鳥が泳いでる。

散歩するのにはちょうどいいんだ。

自分の育った街に木蓮さんが居るのは不思議な感じだったよ。

駅もビルも並木道もいつもとは違って見えた。

木蓮さんがいろんなものをひとつひとつ真剣に見ていて、おれもつられて見てたからかな。

木蓮さんの目を通して景色を見てたら、自分の街なのに旅行に来てるみたいな気がして楽しかったよ。

そうやってふたりで街を歩いてたら、なんとなく木蓮さんを家に招びたくなったんだ。

おれの家にいる木蓮さんを見てみたかった。

木蓮さんがそこにいることで、家や家族が自分の目にどんな風に映るのか確かめたかった。

それにやっぱり、木蓮さんが可愛いから、家族に見せたかったし。


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