木蓮ひらり

氷霜 /2

木蓮は少し青い顔をしていたけれど、次の日も登校した。

昼休みにサエやエリナたちがヒデちゃんとのこととかを尋ねてきて、あたしが受け答えをして、木蓮は曖昧に微笑んで聞いていた。

四人で話しているときに突然、木蓮が椅子を鳴らして立ち上がった。

表情が変わっていた。

木蓮らしくない、緊張とは違うこわばった顔をして、少し離れたところにいる男子ふたりを見ている。

男子たちは気おされたように黙り込んでいた。


「どうしたの?」


あたしたちが訊くのに答えずに、木蓮は教室を出て行った。


「あんたら今なんか言っただろう?」


サエがふたりの男子に凄んだ。

彼らは何も答えない。

あたしは木蓮を追って教室を出て、中庭で追いついた。


「どうしたの」


もう一度訊いても木蓮は黙ったまま、花のない花壇の黒い土を見ているばかりだった。

訊いても返事をしないのは、実は木蓮には珍しいことだ。

「なんでもないの」と強がることもできない木蓮に、あたしらしくもなく何も言えずに、傍に佇んで、午後の授業の予鈴が鳴るまでをそこで過ごした。

結局、男子たちはサエとエリナの追求には答えなかった。

後で周囲にいた子たちが、木蓮の家の事情、特にお父さんのことを憶測混じりに話していたのだと教えてくれた。

木蓮は前にも増して言葉少なになり、少しずつ、弱っていった。

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