木蓮ひらり

下萌 /1

年始の賑やかさが去ったこの時期は、ただ凍てつくばかりの何もない季節だ。

ヒデちゃんの学校はあたしたちよりも早く期末テストが始まるらしく、またしばらく会えない。

放課後、あたしと木蓮は学校を出てからあまり話をせずに家路をたどった。

ほとんど葉を残していない街路樹の枝が冷たい風に微かに揺れている。

どうせなら雪でも積もれば雑多なものが覆い隠されて気分が良くなるのかもしれない。

だけど今日は雲が使い古しの雑巾みたいなまだらな色を広げてこの街に蓋をしているだけだった。


今夜はママがいない。

この週末に故郷で友達の結婚披露宴があるので帰省している。

家に着いて、あたしはキッチンを探った。

冷蔵庫には店の残りの煮物や何かがあって食事の心配はない。

振り返って茶の間を見やると、木蓮はこたつの天板に頭を乗せてぼんやりとしている。


「ゆうべも、あんまり寝てないの?」

「……わかんない。寝たのか、寝てないのか」

「ベッドに横になってみたら?」


うながすと木蓮は頷いて自室に行った。

木蓮はずいぶん痩せてしまった。

あれからまた学校の保健室を二、三度利用した。

学校はできるだけ休まずにしっかり勉強して、という聡子さんの言いつけを守ろうと頑張っているのが端で見ていてもわかった。

だからうちにいるときぐらいは休ませたいんだけど、木蓮は店の掃除など手伝おうとする。

今日はかずさは休業日だし、木蓮には何もさせないつもりだった。


夕飯時になっても木蓮がダイニングに出てこないので、部屋のドアをノックした。

返事がないから不安になって、そっとドアを開ける。

白い寝床に根を生やしたように、木蓮は眠っていた。

あたしは静かに茶の間に戻り、夕食を摂るようにとこたつの上にメモを残して、自分の部屋に引き上げた。


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