木蓮ひらり

若葉 /2

空港の手荷物検査場前の列に並んでいるときに、木蓮は駆け込んで来た。

普段は真っ白な顔をした木蓮は、今は頬を紅潮させて、肩で息をしている。


宮田先生に促されて、木蓮は最後尾に並んだ。

「木蓮!」

あたしが叫ぶと、木蓮はこちらを見て嬉しそうに笑い、小さく手を振った。

「大丈夫だよ」って言っているみたいに。




同じ班のメンバーで固まっていたあたしたちは、検査場を通り抜けた木蓮を取り囲んだ。

女子ばかりの中にいると、平均より頭半分くらい背が高い木蓮は、目立つ。

長身なのに幼な顔で、目を見開いたあどけない表情は、人に慣れていない子鹿みたいだ。

「熱は?完全に下がったの?」

「うん、もう平気」

「風邪?」

「そうみたい」

「よかったね!でも無理しないでよ」

「うん。ありがと」



みんなと当たり障りのない会話をしている木蓮に、あたしは訊く。

「うちのママは?」

「空港の入口まで車で送ってくれて、もう帰ったと思うよ。助かっちゃった、ホント」

「どうせなら空港の中まで来て見送ればいいのに」

あたしはそう言ったけど、すぐに、スウェット姿だから車から降りられなかったんだな、と思った。

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