木蓮ひらり

ブルームーン /2

デザートの小さなアイスクリームを食べ終えて、店を出た。

空は薄曇りで、真夏になる前の曖昧な明るさが歩調を遅くした。


バスターミナルのある大通りへ向かおうとしたときに、ヒデちゃんが言った。


「こっちから行こう。綺麗なんだ」


あたしはヒデちゃんに付いてレストランの裏手の道に入った。


少し先に白い花のアーチが見える。

公園の入り口らしい。


「こんなとこ、あったんだ」

「来るときに見つけた。ちょっと遠回りになるけど、通り抜けられるから」



アーチをくぐるとその向こうにも様々な花が咲き乱れていて、お年寄りや家族連れが散歩をしている。

遠くに見える広い芝地ではカップルがフリスビーをやっていて、はしゃいだ声が聞こえてくる。


あたしは柵に絡んでいるピンクの蔓薔薇に近づいた。

芳香が立ちのぼる。

ワンピースのスカートのふくらみが薔薇の棘に触れそうで、手のひらで軽く押さえた。


「ワンピース、いいな。おれ女の子に生まれたら絶対ワンピース着るよ」

「なにそれ」

誉め言葉だか何だかわからない台詞に、あたしは笑った。


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