アルキメデスの誘惑

夏の予感 /事件の兆し






放課後の部活練習。


ウォーミングアップを終え、わたしは助走のタイミングを測って、滞空でのイメージトレーニング中だった。


そこに陸上部の後輩がやってきて、


「あの、東山先輩」


「なに、どうしたの」


「あれって、観音寺さんですよね」


後輩の指さす方向は、グラウンドの一番奥にある雑木林。


その木と木の間をチョコチョコと動く、不審な人物がいた。


ハルノブだ。


わたしの方を見て、高速で手招きをしている。


「先輩を呼んでいるようですね」


夏空の広がる午後。


風は追い風。


絶好の練習日和なんだけどな。



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