好きには、なれない 【完】

春の椿事 /予感



佐々木君に恋愛指南された翌日。


教室に入るなり、わたしはいつもとちがう空気を感じた。


何かあったのかな、と教室を見渡せば、原因はわたしの隣の席だった。


うわ~、黒くなってる。


入学式から1ヶ月が経ち、ようやくプラチナアッシュの髪色に見慣れたところで、いきなりの黒髪チェンジ。


口数の少ない冬也くんとまともに会話が成立する男子は、同じ東和中学出身の佐々木君と同じく転入組の村田君ぐらいで、その2人が今朝はまだ登校していないせいか、クラスメイトたちは何があったのか聞きたいけれど、なんだか怖くて近寄れないといった感じに見える。


黒髪になったというのに、プラチナアッシュのときより教室で浮いているような気がしないでもない。


できることなら、わたしも遠巻きにしたいけど……


わたしの席は、彼の隣という都合の悪さ。


『 特別ってことじゃないの? 』


昨日の佐々木君の恋愛指南を考えないように、


「おはよう」


わたしは冬也くんに話しかけた。




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