好きには、なれない 【完】

春の椿事 /魔法



月曜日。


わたしは額の傷に、小さくカットした傷テープを貼り付け登校。


肌色のテープは、前髪に隠れてほとんど見えない。


これなら誰も気がつかないだろうな。


そう思って教室に教室に入り、席についたとたん ――


「どうした、それ」


朝一番で、冬也くんに気づかれた。


「えっ、見えてるの?」


とっさに前髪が乱れているのかと手で隠したら、


「そっちもかよ」


冬也くんが云った。


なんてことはない。


冬也くんは、わたしの右手に巻かれた包帯を「どうした、それ」と訊いたのに、早合点したわたしは、額の傷をみすみす自分でばらしてしまったのだ。


「ちょっと見せてみろ」


冬也くんの腕が伸び、わたしの前髪を掻き分けようとする。


「大丈夫だから」


背中を後ろに逸らして逃れようとしたけど、冬也くんの腕の伸びが速かった。


傷テープを目にした冬也くんの眉間に、深いシワが寄る。


「誰にやられた? 誰が星野を傷つけた?」


なんですかその怖い顔は……まんま不良じゃないですか。



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