好きには、なれない 【完】

天と地 /祝福と呪い



冬のロンドン。


初雪が舞い落ちた日の夜。


ひとりの女の子が生まれた。


星野家の長女。


それが、わたし。


自分で云うのもなんだけど。


神様の祝福付きで生まれたわたしは、まさに天使のごとき愛らしさ。


旧財閥系の巨大企業『星野ホールディングス』を率いる父は、


「なんて美しい瞳なんだろう! ママ、僕たちの天使に『瞳』と名づけてもいいかい?」


愛娘の愛らしさに身悶(みもだ)えた。


「ええ、いいわ。とっても素敵な名前ね。だって黒い瞳がキラキラしているもの」


元アイドルから名女優へと華麗なる転身をとげ、旧華族星野家の御曹子を射止めた母は、


「瞳ちゃん、大切に育てるからね」


美しい笑顔を浮かべ、わたしに頬ずりした。


母子のスキンシップに、


「美しい愛妻に美しい愛娘。ああ、なんて美しい光景だろう。僕は幸せだ!」


父はさらに悶(もだ)えた。




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