好きには、なれない 【完】

秘め事 /偲ぶ恋



鏡に映ったわたしは、キツネにつままれたような顔をしている。


だって、傷がないんだもん。


ぽっかーん、だ。


額の傷はどこへ?


いくら小さかったとはいえ、昨夜まではしっかり確認できた傷口。


ところが ――


朝、顔を洗おうと鏡をみたら、ない、ナイ、傷が無い。


朝食の席で、麗一郎お兄様にも確認してもらう。


「本当だ、綺麗に治ってるね」


「治ってるどころか、消えてます。こんなことってありますか? 一夜にして傷口が消えるなんて、まるで魔法です」


わたしとは対称的に、お兄様はさほど驚く様子も見せずに、


「そうだね、魔法かもね」


わたしの頭を笑って撫でてくれた。


魔法ですか……


『アブラカタブラ』


まさか、光のおまじないが本当に効いた?



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