好きには、なれない 【完】

秘め事 /許されぬ恋



永井家にお邪魔して、衝撃の事実を知ってから1週間が過ぎた。


右手の傷はもうすっかり治り、わたしはまた自分でノートをとるようになった。


わたしの隣の席では、授業中にすることがなくなり、ボンヤリと黒板をみつめる冬也くんがいる。


―― 永井先輩の孫


その事実を知った日から、わたしと冬也くんの関係はギクシャクしはじめた。


とはいっても、わたしが一方的に距離をとっているにすぎないんだけど。


「星野、昼メシ食べようぜ」


「ごめん、わたし、先生に呼ばれたから、みんなで先に食べていて」


呼び出しなんて嘘。


「星野、明日の放課後、ヒマか?」


「明日?」


「ばあちゃんがさ、また遊びに来ないかって、星野に見せたい着物があるらしいんだ」


「ごめん、明日は光と約束があって」


「光って、となりのクラスの幼なじみのことか?」


「うん、ごめんね」


嘘、光と約束なんてしていない。






0
  • しおりをはさむ
  • 1427
  • 5838
/ 480ページ
このページを編集する