好きには、なれない 【完】

天空の時計 /大切な人



基樹から連絡が入ったのは、ぐったりとなった週末から6日後のことだった。


電話口で、


『明日、10時に迎えにいくから』


それだけ。


あとは一方的に切れた。


「なんだ、そりゃ」


あんまり一方的だったので、頭にきて思わずリダイヤル。


『もしもし、どうした』


すぐに出た基樹に、


「どうした、じゃない!」


わたしは威勢よくかみついた。


「わたしに予定があるかもしれないでしょ。この場合、わたしの予定を先に聞くのが常識よ。しかも10時って、午前か午後も云わないで切るなんて、非常識」


常識的に考えて、午前10時だろうけど!


基樹の小さなタメ息が聞こえたのは、聞き間違いじゃない。


タメ息つきたいのはこっちよ!


何の予定もなかったけど、無理やり予定を入れて断ろうとしたとき。


『 ―― ごめん』


基樹が謝った。


それはとても真摯な口調で、わたしはあの日を思い出す。


わたしがケガをして、基樹にプロポーズされた日。


基樹がわたしに謝るのは、あの日以来だ。



0
  • しおりをはさむ
  • 1494
  • 5883
/ 480ページ
このページを編集する