好きには、なれない 【完】

運命と命運 /To be or not to be



闇を漂う。


果てのない世界で、いまよりさらに深遠な闇が迫ってくる。


怖くはない。


明けるのが惜しい、可惜夜(あたらよ)のような闇だから。


魂のやすらぎを覚える混沌の中で、


『迷い子か。わずらわしい』


女性のような男性のような声がした。


歓迎はされていない。


『無なる存在に欠落した魂などいらぬ』


可惜夜に拒絶され、少し哀しくなる。


わたしって、どこに行っても厄介者扱いだな。


『朽ちるか』


それはつまり、魂の消滅。


ついに訪れた、行き場のない魂のどん詰まりだ。


わたしはきっと、この可惜夜に溶けていくだろう。


これは「死」とは違う。


もっと恒久的なもの。


歓迎されてないけど、それもいいかもしれない。


何もないけど、ここはどこよりも安らかだ。


前世より、現世より、おそらく冥界より、天界より。


『迷い子は何を迷う』


性別のない声に問われ、


「迷ってないよ」


すぐに応えた。


そもそもわたしは、自ら「死」を選んだのだから。


こうなることは、わかっていた。


神様にも、そう云ったじゃない。


だけど、少しだけ待って欲しい。


ふと、思い出したことがある。




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