好きには、なれない 【完】
花に嵐 /婚約者
薄暗いなか。
螺旋の階段を降りていく。
唯一の照明は、霊鬼の爪先に浮かぶ青白い炎。
ゆらゆらと揺れる炎を見て、
「人魂みたいだね」
わたしが云ったら、憮然とした霊鬼が「鬼火」だと教えてくれた。
―― 閻魔大王が黒い渦に消えたあと。
霊鬼とわたしは、すぐに移動することにした。
魂と肉体を、さっさと融合させなければならない。
聞けば、わたしの肉体は前川病院にあるらしく、どうやって病院まで行くんだろうと思っていたら、
「しばし待て」
霊鬼が地面に手をつき、何やらブツブツと唱えはじめた。
灰が舞い上がり、霊鬼の右手を中心に円形の紋様が広がっていく。
これって、前にも見たことがある。
得たいの知れない魔法陣!
たしか霊鬼が足を踏み鳴らしたら、魔法陣が砕け散り……
奈落にむかって真っ逆さま、だったはず。
あらすじ
マヌケな神様のせいで、まさかの地獄行き。
閻魔大王のお助けにより、人生やり直し。
オプション付きの華麗な新・ライフ――
の、はずが……
人生って、甘くない!
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総合ランキング195位獲得!(2017年01月)
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