好きには、なれない 【完】

花に嵐 /婚約者



薄暗いなか。


螺旋の階段を降りていく。


唯一の照明は、霊鬼の爪先に浮かぶ青白い炎。


ゆらゆらと揺れる炎を見て、


「人魂みたいだね」


わたしが云ったら、憮然とした霊鬼が「鬼火」だと教えてくれた。


―― 閻魔大王が黒い渦に消えたあと。


霊鬼とわたしは、すぐに移動することにした。


魂と肉体を、さっさと融合させなければならない。


聞けば、わたしの肉体は前川病院にあるらしく、どうやって病院まで行くんだろうと思っていたら、


「しばし待て」


霊鬼が地面に手をつき、何やらブツブツと唱えはじめた。


灰が舞い上がり、霊鬼の右手を中心に円形の紋様が広がっていく。


これって、前にも見たことがある。


得たいの知れない魔法陣!


たしか霊鬼が足を踏み鳴らしたら、魔法陣が砕け散り……


奈落にむかって真っ逆さま、だったはず。







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