好きには、なれない 【完】

合縁奇縁 /夜桜の下で



一条家の「桜見会」当日。


昼の部である『桃華の部』に出席するお父様とお母様は、朝4時に起床し、準備に余念がない。


8時ちょうど、美形夫婦は青白い顔で、


「行ってくるよ。今晩の夕食は胃にやさしいモノを」


執事の影山さんに言い伝え、出陣していった。


昼からスタートする『桃華の部』に、なんでこんなに早く行かねばならないのか、本当に不思議。


影山さんに訊いても、


「当主夫妻というのは、いろいろとお気遣いがあるのです」


なんて云って、はぐらかされる。


その理由を知るには、わたしも『桃華の部』に出席するしかないんだけど、そんな勇気はない。



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