世界はキミのもの《完》

第12話 風の行方



 風が吹いた。

 変革を求める風が。


「我等の目的はただひとつ。鬼熊を頂点とした秩序ある社会を取り戻すこと」


 ある男は口角を上げ、ある男は眉をひそめ。

 そしてまた他のある男は溜め息をついた。





 第12話『風の方』








 大人しく部屋にいると睡魔に襲われてそのまま寝てしまい、結局起きたのは夕方だった。

 いつもとは違う辺りの騒がしさに私は一瞬何事かと不安になるけど、いろんな里の人達が来ていることを思い出した。


「ん、寝過ごしたっ……」


 畳の上で寝ていたせいで、体が少し痛かった。

 骨がポキッと音を立てたけど気にしないようにして起き上がると、障子を開け、部屋の中から廊下をキョロキョロと見渡した。

 鈴華はいないみたい。

 そっと廊下に出て誰か人を捜していると、意外な人物に遭遇した。


「千里さん!」

「おや、日和君か」


 何やら急いでいる様子だ。

 一応止まってくれたけど、私と話している暇があるなら早く足を進めたいという思いがひしひしと伝わってくる。

 だけど、それを分かっていてもなお私は聞かずにはいられなかった。


「何かあったんですか?」


 千里はふぅと息をつく。


「君は琉狼様にどう言われているんだ?」

「どう、とは…?」


 聞かれている意味が分からなくて首を傾げると、答えを促すように少し困り顔の千里が口を開いた。


「関わるなと言われているんじゃないか?」


 その言葉に、流さんには似たようなことを言われたけど一一と朝の出来事を思い出す。

 だけど私は首を振る。


「言われてません!」


 もちろん琉狼には、という括弧つきで。



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