世界はキミのもの《完》

第4話 嫁入り



「お前、結構可愛いな。俺好みだ。俺のとこに来いよ。……狼なんかより良くしてやるから」


 嵐は突然やって来ました。





 第4話『入り』








 心地好い昼下がり。やることもなく庭で箒を掃いていると(ここでの生活に馴染んできました)、それは私の目の前に突然現れました。

 金色の綺麗な毛に、同じく動物にしては珍しい金色の目。

 小振りな体についてあるしっぽはフサフサしていて。


「……つね」


 持っていた箒が無意識に手から滑り落ちた。

 視線が合うと〝それ〟は私の方に近寄り、足にほお擦りしてきた。


 ……。

 ………。

 …………。


 ダメだ。もう堪えられない。

 私は本能の赴くままに大きく息を吸い込む。

 そして。


「きゃあああああああああ!!!何これ何これ何これ!!狐ちゃんだ!!可愛い可愛い可愛い可愛い!!ダメ。もうダメ!!可愛すぎて死んじゃう!!!」


 動物好きな私がこの世で一番大好きな動物。それは狐。

 その狐が自分の足にスリスリしてきて叫ばずにいられるだろうか。答えは否だ。


「狐ちゃんどうしたの!?迷い込んじゃったの?ん?寒いの?お腹空いたの?」


 顔を綻ばせながら抱き上げるけど、狐はうんともすんとも鳴かない。

 愛らしい狐特有の目を向けられ、私は完全にノックアウトされてしまった。


「も……ダメ」

「ひよ、どうしたの?なんか叫び声が聞こえたけど」


 駆け付けた琉狼がひょっこりと顔を見せた。


 一一ダメだ。琉狼は狼だからこの子を食べちゃうかも!

 動揺してそんなよく分からない考えに辿り着いた私は、咄嗟に懐に狐を押し込んでいた。


「ひよ?」

「なっ何でもないよ!?ひゃ」


 狐が胸で暴れ回り、くすぐったくて体が跳ねる。


0
  • しおりをはさむ
  • 275
  • 914
/ 417ページ
このページを編集する