世界はキミのもの《完》

第21話 消せない過去



「琉狼、入ってもいい?」

「ダメ」


 1回目、撃沈。


「琉狼、日和だけど、入ってもいい?」

「嫌」


 2回目、撃沈。


「琉狼、ご飯持ってきたんだけど入っても……」

「入らないでそこ置いといて」


 3回目、撃沈。




 第21話『消せない去』









「はぁ……」


 まさかあれから本当に一度も部屋にすら入れてもらえないなんて。

 しかも前みたいに用がないならまだしも、今回は鈴華から預かった夕食を届けにきたのだ。


 鈴華もあれから変わりなく、逆に私のことを酷く心配してくれた。

 ことあるごとにここに来る私に琉狼は部屋に入るなの一点張りで記憶が戻る気配はまったくない。

 でも由季たちが今必死で封印を解く方法を模索しているから、私がへこたれてちゃいけない。


「どーしよーかな……」


 それでも。どんなに否定されても何度もここに足を運ぶ私は相当彼を好きになってしまっていたんだと思い知らされた。


「日和様」

「あ、流さん」


 自分の部屋に戻りながら作戦を考えていると流と鉢合わせた。


「貴女も懲りませんね。まぁしかしあれくらいのことでご当主から離れるのならばそれこそ軽蔑の対象となるところですが」

「それって私を応援してくれてるってことですか?」


 物凄くややこしい言い回しだけど。


「頑張れば必ず報われる、とは言いません。昔から世は理不尽に出来ていますから」

「どういう意味ですか?」

「…………応援しているという意味ですよ」

「う、嘘だ!それが応援の言葉じゃないことくらいわかりますから!」

「おや」

「それより、いつですか?」

「何がです?」

「鬼熊の里に行く日ですよ。この間も言いましたけど私も行きますからね」

「連れていきませんと何度言えば……」

「行きます。行って月早伊織と話がしたいんです。もし流さんが連れていってくれないならひとりで行きますから」

「貴女という人は……」


 深く溜め息を吐き、うなだれる流。



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