世界はキミのもの《完》

第8話 人間と神狼と



「お財布は?」

「持った」

「ちり紙は?」

「持った」

「護身刀は?」

「持った」


 なんかお母さんみたい。

 ……って言ったら怒られそうだから止めておこう。





 第8話『人と神狼と』








 琉狼に無事許可も貰って、今日はウキウキわくわく鈴華と2人でお出掛けの日!


「ひよ、気をつけるんだよ?」

「大丈夫だってば」

「暗くなるまでに帰ってくるんだよ?」

「分かってる」

「知らない人について行っちゃダメだからね?」

「はいはい」

「何かあったらすぐ」

「琉狼様。私がついてますからご心配なく」


 延々と続きそうな勢いの琉狼の言葉を、鈴華が不服だと言わんばかりに唇を尖らせながら遮った。

 このままだとなかなか出掛けるられないと思い、私は鈴華の手を引いて歩きだす。


「じゃあ行ってくるね!」

「行って参ります」


 快晴。鈴華の冗談じゃないけれど、まさにお出かけ日和だ。私は初めて自分の足で屋敷の外に踏み出した。


「ああ不安だ」

「……」

「あんなに可愛くめかし込んで、悪い虫がついたりしたら」

「……」

「……はぁ」

「……」

「やっぱり後つけようかな」

「……ご当主」


 彼女達が帰ってくるまでの今日1日、流の苦悩は続くのであった。



 *



 屋敷を出るとすぐに、鈴華に桜色の大きな布のようなものを頭から被された。

 人間だとばれると厄介なことに成り兼ねないらしいから、頭と顔を隠す為だとか。

 逆に浮くんじゃ?と思ったけど、この里の女性は普段出歩く時こうしたもので肌を隠す人も多いらしい。


「市場はもう少し先です。大丈夫ですか?」


 鈴華が気にしているのは私の足のこと。下駄は履き慣れなていないからすぐに痛くなってしまう。



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