やっぱり、キライ!【完結】

episode:6 /高鳴る鼓動




人は必死になると周りが見えなくなる。


って昔、誰かが言ってた気がする。


その通りだと思う。


家を飛び出したのはいいけど、スマホを家に置いてきてしまったことをタクシーに乗ってから気がついた。


それに部屋着の格好をしている私には不釣り合いな仕事用のバック。


「お釣り、いらないですから!」


恭介がまだ仕事をしているとは限らない。


なのに私は彼の仕事場までタクシーで送ってもらった。


自分でも馬鹿じゃないかって思うくらい。


タクシーを降りて、急いでいると勢いよく通行人とぶつかってしまった。


「きゃっ、」


「おっと、大丈夫?」


私のバックの中身はぶつかった拍子に落ちてしまい、もう最悪。


「あれ、千尋ちゃん?」


落ちた物を拾っていれば、ぶつかった通行人の口から私の名前がでて顔を上げてみる。


「え、樋口さん…?」


不幸中の幸いというやつだろうか。


「あの、恭介ってもう帰っちゃいました?!」


必死に彼を見つめる。


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