心惹かれる甘い誘惑【完結】

心惹かれる甘い誘惑 /危険な帰り道





「(…あ、雨だ。)」




そう気づいた時には本降りとなって雨は降り出していた。



道を行く人は次々に傘をさしていって、濡れている私を見てみぬフリするだけ。



いつもの私なら濡れちゃうとか言って駅まで走り出すけど、今は違う。



走り出す気力なんてなく、ただ雨に打たれていたい気分。




一度も見たこと無かった村岡さんの奥さん。



前にこずえが言っていたように綺麗な人だった。




そんなことを考えていれば、どんどん色んな感情に呑み込まれそうになる。



完全に呑み込まれる前にどうにか家に帰ろうと私は重たい足を動かして駅へと向かう。



駅についてハンカチで濡れた場所を軽く拭いて、いつものように改札口を抜けて駅のホームへと急ぐ。



「沙菜?」


不意に名前を呼ばれ振り向くとすっかり忘れていた問題の男がいた。




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