心惹かれる甘い誘惑【完結】

心惹かれる甘い誘惑 /踏み出す勇気





─ピピッ


脇に挟んでおいた体温計を取り出し、表示されている体温を見る。



「36.3…よかった、下がった」



そう言ってホッと胸を撫で下ろす。


昨日一昨日とぐっすり眠っていたおかげだ。これで会社に行ける。



私は軽い足どりで朝食の用意をしにキッチンへ向かい、食べ終わると急いで会社へ行く支度を始めた。



会社に行く前に枕元に置きっぱなしだったスマホを手にして着信履歴を見る。


必ずその月1回はお母さんから。



「…通話なんて押せないよ」



どうしても指は通話を押すのを嫌がる。


と、言っても私が躊躇っているから指も言うことを聞かないだけ。




"じゃあ、俺もちゃんと実家に帰るから"


"一歩踏み出すのに手助け。俺の頑張るからお前も頑張れ"


"約束、"




「約束、しちゃったんだよね…」


小指を見て小さくため息をつく。




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