壊れたキミと共依存

混乱 /守る

僕は藍葉と同棲し始めた。
藍葉の両親が愛を育んだこの場所で。
僕が買い物に行く時以外は鍵を掛け、藍葉のスマホは隠しておいた。
藍葉が外部と触れ合う手段は何一つ残さなかった。
もし藍葉が元彼氏であるあいつに会ったら藍葉は思い出したくない事を思い出すだろうから。
それを避けて救えるのは僕だけだから。
…そんな建て前を振りかざしながら僕は彼女を監禁している。
藍葉は何も言わない。
気付いたフリもしない。
それでも長い間一緒に居たから分かるんだ。

藍葉が何にも気付かないでいる訳無いって。

彼女は何にも気付いてないフリをしている。
それでも時折見せる笑顔の中に偽物があった。
もしかしたら藍葉自身気付くのを恐れて居るのかも知れない。

僕はそれに気付いている。

なのに何も言わない。
藍葉の為に気付かないフリをする。
藍葉の為に彼女の身の回りの事は全部する。
彼女の為に僕がしたいからするだけだ。
見返りなんて求めない。
ただ藍葉が笑ってくれさえ居れば救われる。

だから前の関係を彼女に求めたりしない。

彼女が全て忘れたままで愛し合えるならそれが僕が一番欲しいものだ。
彼女の記憶なんて戻らなくていい。
辛い過去なんて思い出させる方が酷だ。
だから僕の為に思い出さないでよ、藍葉。
僕は何一つ覚えて居なくたって藍葉が好きだ。
藍葉も僕のこの気持ちに応えてよ。

「ただいま」

部屋に戻って来たのに藍葉がいつものように出迎えてくれなかった。
だから僕は不思議に思いながら彼女を探した。

藍葉は身体を震わせながら一室に居た。
彼女のスマホが近くに転がっていた。
瞬間的に僕は彼女を見た。

彼女は泣いていた。
とても苦しそうに。

「藍葉…!!」

彼女に駆け寄ると、藍葉は僕を抱き締めてきた。
そして言った。

「1人にしないで」

そう言う彼女は心底怯えて居た。
僕はこんな思いをさせない為に側に居た筈なのに。
また彼女を苦しめてしまった。
僕はもう彼女を片時も1人にしないと誓った。

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