壊れたキミと共依存

決意を新たに /罪の花

僕は藍葉が僕自身の胸の中で泣きじゃくる間ずっと抱きしめていた。
僕がもっと用心していれば彼女がこんな風になる事なんて無かった。
僕が片時も藍葉から離れなければ彼女がこんな風に混乱する事なんて無かった。

だから僕は、彼女を自由にはさせないと誓ったんだ。

自由は彼女を苦しませるものだから。
自由は彼女に嫌な思いをさせるものだから。
彼女が泣いているのは、彼女がアパートの中で自由になったからだから。
彼女から自由を奪ってしまえば、何方も苦しくないから。

泣きじゃくる彼女に聞いた。
何処迄思い出したかと。
彼女は嗚咽混じりに応えた。
分からないけれど写真の男が怖いと。
僕とずっと一緒に居て不安にさせないでと。

部屋を防音にした。
窓を全て塞いだ。
外からしか開かない部屋に彼女を閉じ込めた。
部屋に置いたのは冷蔵庫と食料、そして布団、椅子、木のテーブル、彼女の部屋にあった洋服全部。隣のトイレと浴室に続くように部屋を配置、他には何も与えなかった。
これは完全な監禁だ。
頭では分かっていた。

それでも僕は藍葉を守るんだ。
藍葉の全てを守るんだ。

その為の監禁。これは間違っていない。
何一つ間違っていない。
そう自分に思い聞かせないとどうにかなってしまいそうだった。

藍葉を守る為の仕方ない監禁。

家に居る時はずっと藍葉を抱きしめていた。
藍葉は弱々しく僕に抱き着いた。
表情は見えなかったが彼女の小さく白い手が僕の服を握った時に、もう他の事はどうでもいい気がした。
同時に唇を奪いたくなった。
全てを奪いたくなった。
でもそれをしたらもう何処にも戻れないと分かっていたから僕はそれらの事を一つとしてしなかった。
一緒に寝ても、抱きしめても、恋人だと嘘を吐いても、それだけはしなかった。
これは彼女を守る為だから。
だから手を出さなかった。
全部打ち明けて彼女の全部を奪ってしまいたかった。
それでもそれでいつか離れ離れになるならば僕はそれをしない。
段々作り笑いが増えていった。
彼女の唇や体を無意識に見る事が多くなった。
いつまで我慢すれば良いのか自分でも分からなかった。
彼女を手籠めにしてしまう事も可能なこの状況下でそれでもそれ等をしなかった。
何時迄我慢すれば良いのか分からなかった。

心に咲いたとても綺麗なこの毒の花を僕は見て見ないフリをしていた。

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