下田君に振り回される。【完】

▽2 /顔を背ける




「うーしまーるくん」



ポン、とその名前の主の肩を白い手で軽く叩いて、彼の意識を自分へと向かせる。振り向いた彼は自分を呼んだ相手に「おはよう」とあの王子様スマイルで挨拶をした。



「昨日借りたノート返すね。ありがとう」

「あー、サンキュー」

「牛丸君のノートすっごい分かりやすかった。また貸してね」

「オッケーオッケー。こんなノートでよければ」



教卓の前の席からそのやりとりを見ているあたしの手にも昨日牛丸君が貸してくれたノートがある。なぜか表紙に「KOTEN!」と書かれているそのノート。


中身はひらがなと漢字ばかりの古典のノートだったのに、見た目はなんともアメリカンだ。



そのアメリカンなノートを返そうとタイミングを窺っていたら、さっきのやりとりを見てしまったのだ。



牛丸君と美人な東さんの素敵すぎるやりとりを見てしまったのだ。



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