下田君に振り回される。【完】

▽1 /視界に映る






今日は晴れ。朝から晴れている。快晴。
うん、すばらしい。




3時間目の授業中。
教卓の前の席にもかかわらず、ぼんやりと窓の外を見ていた。



先生が黒板に字を書いているおかげで、今だけは何をしてもバレない。右手でシャープペンを握り、左手で頬杖をつき、目だけを青空に向けて、清々しい気持ちでいた。




四角い窓の先に見える綺麗な水色の空。そこにまばらに浮かぶ白い雲。なんて美しい。絵にしたいほどだ。




「(…はあ、すんばらしい…)」




すっかり思考を青空に持っていかれていたせいで、先生の目がこっちに向いたことなんて気付けなかった。





「宮田さん、集中してますか?」

「へっえ、あ、」




古典の女の先生はちょっと恐い。そのためいつもふざけている戎君でさえ大人しく授業を受ける。


それなのにあたしは思いっきり余所見をしていて、見事に先生の目に止まってしまった。



慌てて弁解の言葉を述べようとしても、鋭い目で見据えられ、カチンと体が固まる。




……やってしまった。




後悔しても遅すぎて、ただ「…すみません」と謝罪するしかない。




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