下田君に振り回される。【完】




身体を起こした戎君は両手で頭を抱え、ワシャワシャと自分の髪を乱した。そのせいで戎君の髪はあっという間にグシャグシャになり、寝癖だらけの頭になる。




「…もしかして戎君、それで元気ないの?」

「…おうよ。昨日だって寝ないで勉強したんだぜ…」

「だから目の下にクマがあるの?」

「…おう。おかげで俺は今日誰とも目を合わせられねぇ…」

「あたしと合ったじゃん」

「宮田はいいんだよ、仲間だから…」




声にも力が籠っていなくて、よく耳を澄ませないと聞こえない。戎君の席の横にしゃがみこむと、眠そうな目があたしに移された。



上からあたしを見下ろす戎君は何か言いたそうな瞳をしている。が、何を言いたいのかまでは分からない。




「…なに?」

「宮田は、どうよ…?」

「何が?」

「勉強の調子は…」

「戎君よりはいい感じだよ」

「…ふんっ。お前は11点だもんな」

「カッチーン」




それ言っちゃなんねぇよ戎君!仲間なら尚更言っちゃダメだ!


ムッと口を尖らせると、はあ、と溜め息を吐きながら戎君はその恐ろしい数学のテストを手にとった。





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