下田君に振り回される。【完】




追試会場はこの階のひとつ上にある空き教室。「大丈夫かな…不安だな…吐きそう」と顔色を悪くしている戎君と廊下を歩いていれば「あ、」と前方から声がした。



目線を上げるとそこに下田君がいて、心臓が分かりやすいぐらい大きく鳴った。



「あ、怜人君」



戎君は声のトーンを高くしてパっと顔を上げて反応する。




「これから追試だよね?」



こちらに近づいてきた下田君はどこか落ち着きのない様子に見えた。それに目をパチクリとすれば「そうだよ、どうしよー…」と隣で戎君が答える。




「俺自信ないよ、怜人君…」

「えび君なら大丈夫だよ、あんなにできてたじゃん」

「問題見たら頭真っ白になりそうで…」

「でも問題同じでしょ?」

「え、マジで?そうなの?」

「って、俺は聞いたけど」



同じクラスの人が言ってたよ、と当然のように言った下田君にあたしと戎君は「そうなの?!」とおったまげた。


聞いてないよそんなの!数学の先生に聞いてもニヤニヤするだけで教えてくれなかったもん!



アワアワしだしたあたしと戎君に「だから安心して解いて」と下田君は柔らかく笑った。



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