下田君に振り回される。【完】




ぎゃあぎゃあ騒ぐあーちゃんを連れて飲み物を買いに行った後藤君がいなくなり、空き教室にはあたしと下田君の2人だけとなる。



まだ立ちっぱなしだったあたしはとりあえず席に着く。買っておいたパンを袋からガサガサと出せば、後ろでも同じ音がした。



「…、」

「…、」



だけど、そのガサガサという袋が擦れる音もなくなれば静かすぎる時間が訪れる。



なんだろう、この不思議な空間は。一緒にいるのに、近くにいるのに、何も話さないのはおかしい。



パンを持って椅子に座ったまま体ごと下田君に向ければ、下田君は驚愕したように目を瞬かせた。




「下田君のは何パン?」

「、焼きそば」

「あたしのはカレーパン」

「カレー好きなの?」

「うん、好き」



そう言って一口食べれば下田君は「俺も好きだよ」と柔らかく笑った。下田君の笑顔はいつも優しくて安心する。







「あのね、下田君」

「うん?」



後藤君とあーちゃんがここを出ていってから1分程経った。あたしはオレンジジュースとカレーパンをそれぞれ片方の手に持ちながら口を開く。





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