下田君に振り回される。【完】




「夏だしさ、せっかくの花火大会だしさ、着て来てよ」

「…、」



体育館に着いても尚、浴衣推しをしてくる牛丸氏。そ、そんなにあたしの浴衣姿が見たいのだろうか。なんて自意識過剰なことを思っていれば、「お前らさっさと整列しろー」とどこからか大ちゃんの声がした。



牛丸君はそれに「あ、」と反応しながらも、「着てこないと怒るよ」と無茶苦茶なことを言いだす始末だ。



「え―…強制的…」

「決まりね、はい。約束。決定」

「勝手…」

「俺も着るから、な」



ポンポンと頭を軽く撫でられる。その行為に周りにいた女子生徒数名がきゃあきゃあ、と騒いでいた。


牛丸君人気は凄まじい。



そんな人気者の彼に浴衣を着て来ることを強引に決められたあたしは平々凡々な人気者でもない奴なのに。



牛丸君はどうしてあたしのことが好きなんだろう。







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