下田君に振り回される。【完】




牛丸君が遠まわしにあたしと一緒にいたくないと言っている気がした。そりゃそうだろう。自分を振った相手と同じ空間にいたいと思うわけがない。


あたしだったら1人になりたいと思う。



「…じゃ、あたし行くね」



いくらバカなあたしでもそれを感じ取ることはできて、そっと足を踏み出した。花火の音を聞きながら一歩一歩。



なぜだか足が震えてた。
牛丸君と話すのに余程緊張していたのかな。でも、緊張で目に涙は浮かぶのかな。



「…なんで、」



あたしの目は今、涙の膜で覆われているんだ。



知らなかったんだよ。告白の返事をするのがこんなに大変だってことを。自分が選んだ答えによって、人を傷付けてしまうことが、こんなにも辛いんだってことを。


傷付けてしまうって分かっているのに、それをちゃんと言葉にしないといけないことが苦しくて。言葉にしないと伝わらないって分かってるけど、それを自分でしないといけないことが残酷だった。




牛丸君はあたしの大事な友達の1人だったから。
大事な人を傷付けてしまったことに、涙が零れた。




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