下田君に振り回される。【完】

▽1 /雨の日のこと



「緋奈(ひな)、先に昇降口行っててくんない?」




今日は雨だった。

朝から大粒の雨が降っていて、クラスの女の子たちは髪の毛が広がると不服そうに呟いていた。


それはあたしも同じで、丁寧にブローしてきた髪が湿気でうねり、雨なんて嫌いだと思った。




肩にちょうどつく髪の毛先を手で押さえていると、中学校からの仲で今は親友でもある、あーちゃんの声が頭上から聞こえた。




髪からあーちゃんに目を移すと、Yシャツの袖を腕捲りしたあーちゃんが切れ長の目でこっちを見下ろしている。




「え、なんかあった?」

「大ちゃんから呼び出しくらった、マジめんどい」

「…あーちゃん、またなんかやったの?」

「ちょっとまたって、何。またって」

「え、だって確か1週間前にも呼び出されてたし」

「あれはー、日直日誌書き忘れてたからで、あたしは別に、」

「うん、分かった。いってらっしゃい」





言い訳をし始めたあーちゃんを笑顔で遮れば、あーちゃんは「もう!」と頬を膨らませた。




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