下田君に振り回される。【完】






夢の中なのかそれとも現実なのか。


夢と現実の曖昧な狭間で扉が開くのを見た。



ガチャリとドアノブが回ってドアが開く。そこから覗く焦げ茶色の髪。風でも吹いているのかフワフワと柔らかそうに揺れる。


一瞬立ち止まって、だけどすぐにまた歩き出す。


どうしてだか躊躇いもなく真っ直ぐこっちへ歩いてくる。



誰だろうと頭を動かしてその人を見ようとするも、光が当たっていてその人の顔が見えない。


見えるのは首から下だけ。



上にだけこの学校のジャージを羽織っていて、下は紺色の短パン。


椅子なんて見えないのにその人はよっこいしょ、といった感じで座る体勢をとる。まるで空気椅子をしているかのよう。




…誰ですか…?




そう訊ねようにも何故か声が出ない。喉の奥に詰まっている感覚。声の代わりに朝無理矢理胃に詰め込んだものが口から出そうになる。



あ、これはやばい。…吐く吐く吐く吐く吐く。





―――――――吐く!!










「おえ゛っ」








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