下田君に振り回される。【完】





信じ難い光景を目を擦ってもう一度見てみるもイリュージョンのように変わっていることはなく、ジャージ姿の下田君はそこに存在している。



「…、」



だけどいまいち馴染めていないように見える。ボールが近くに来ても進んで蹴ろうとしない。…というより、あまり仲間にパスをされていない。



わざと下田君を避けて蹴っているみたいだ。


みんなとコートにいるからてっきり楽しんでやっているのかと思っていたけど、実際ちゃんと見てみたら下田君はボーっとしているようにも見える。

蹴るものがなくてつまらなさそう。



突っ立っていて、太陽の光で光合成をしているみたい。



「…、……」



もっと下田君を交えてやればいいのに…、と保健室にいるあたしがひとりで思ったところで届くわけもない。


こうして結局何もできない自分がいる。



トモダチなのにあたしはまだ彼のためになることなど全くやっていない。



「…うっ、…」



と。また胃がキリキリと痛みだし、お腹を押さえてノソノソとベッドに寝転がった。


もういいや、寝よう…。トモダチは寝ます。



頭からすっぽりと布団を被って、瞼を下ろした。




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